クラウド会計ガイダンス

クラウド会計は、従来の会計ソフトと異なり、クラウドサーバ上でソフトウエアが動作します。いつでもオンラインであれば、アクセスして記帳などの作業がスマホからでも行えますので、大変便利に使うことができます。

 

他にもメリットが多いクラウド会計は、専門家である税理士もおすすめということですが、どんなメリットがあるのでしょうか。また、デメリットも聞かれることがありますので、導入・利用するときにはどういう点に注意して行えばいいのか、ここで解説します。

 

クラウド会計のメリット

  • いつでもどこでもオンラインならアクセスが可能

クラウド会計は、クラウドサーバ上で動いていますので、オンラインであればPCからでも、スマホからでもアクセスが可能です。例えば、出張先で取引があった場合に記帳をしたいとします。

 

そういう場合に、クラウド会計ならすぐに取引を反映させることが可能です。従来であれば、PCを開けるところまで行ってわざわざ会計ソフトを開いて入力、というところですが、スマホからでも記帳が可能なクラウド会計でしたら、ほぼ即時に取引を帳簿に反映できます。

 

  • 帳簿に不慣れな方にも安心 仕訳も自動で効率的

クラウド会計は、帳簿に慣れていない方でも、導入や利用が簡単にできます。特に開業したての個人事業主の方や、小さい会社で経理専任担当者がいない場合でも、複式簿記が「家計簿感覚」でできるようになります。これは青色申告や、決算書の作成にとても便利です。

 

青色申告は、例えば個人事業主の場合、複式簿記で記帳をすれば最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。法人でも欠損金の繰越控除により、赤字の繰り越しを10年にわたって行うこと可能です。こうしたメリットを受けるのに複式簿記は欠かせません。

 

今までは、複式簿記というと、とても難しくて、起業した手では無理、との声も聞かれていました。特に簿記の知識がない方に厄介に思えるのが仕訳です。しかし、クラウド会計の仕訳はほぼ自動で、仕訳のルールに従って仕訳をしてくれるのです。クラウド会計があるおかげで、複式簿記が必須でも、青色申告は難しいものではなくなりました。

 

  • 税制改正にも即対応で手間いらず

クラウド会計は、税制改正もサービスプロバイダが対応してくれるため、ユーザーが特にアップデート・アップグレードを行ってインストールをすることや、追加料金を支払うようなことは必要ありません。

 

月々決まった額の利用料を支払っていれば、最新の税制に対応してくれます。例えば最近の消費税率の改定も、施行日から即時対応していたのがクラウド会計です。メンテナンスフリーで、間違いなく最新の税制に対応できる点は、クラウド会計の大きなメリットの一つです。

 

  • 顧問税理士とも会計情報をすぐに共有可能で効率的

クラウド会計は、クラウドサーバに会計データが蓄積されています。このデータをクラウド会計の設定一つで、顧問税理士と共有できます。そのため、顧問税理士が毎月訪問して帳簿を点検する、といった手間がかかりません。また、問題が何かあれば、すぐにクラウド会計を見ながら相談することが可能です。

 

顧問税理士は、時間単価で記帳代行または記帳に関する相談は報酬を設定することが多いものですが、クラウド会計は時間を短縮できますので、顧問料を節約することが可能です。また、顧問税理士のほうも、記帳のような作業ではなく、より本質的な税務相談や、経営相談に時間を割くことができ、業務の質を向上させることが可能です。

 

  • クラウド会計は連携機能が多数 金融機関情報の集約が簡単

クラウド会計は、モバイルバンキングやカード情報と連携がしやすい設計となっています。連携というのは、平たく言うと、モバイルバンキングの出入金情報や、カードの利用情報をクラウド会計上の帳簿に反映させることが即時にできる、ということを意味します。

 

ですので、連携機能を使うと、会社の備品や会議費などをカードで支払った場合、カードの利用情報から仕訳ができて、すぐに帳簿に反映されます。銀行の出入金の情報も同じです。月々の光熱費や決まった支払いの引き落としがあった時にも、漏らさずにしっかり記帳されます。非常に効率的なので、事業主は経理事務にあまり時間を割かず、本業に専念することができます。

 

  • クラウド会計はセキュリティレベルが高い

オンラインで利用するクラウドサービスは、セキュリティが心配、という声もあります。でも、実はクラウド会計のセキュリティレベルは。金融機関並みの高いレベルのものであることをご存じですか。

 

freee・MFクラウド・やよいのクラウド会計は、まず最新の暗号化通信を使っています。256bit SSL暗号化通信は、金融機関が使う暗号化通信のレベルと同じです。

 

この暗号化通信は、現在の技術力で最高水準ですので、オンラインにしていても、第三者がデータを読み取ることは非常に困難です。100%安全な暗号化通信もない、といわれますが、ほぼ第三者が傍受することは不可能なレベルであることは確かです。

 

さらに、通信だけでなく、データの暗号化も図られていますから、クラウド会計に預けているデータを第三者が抜き取って利用することもまずありえません。

 

また、クラウド会計が利用しているクラウドサーバは、1か所にあるのではなく、分散して設置されており、データはこの分散化されたサーバで保管されています。バックアップも複数あるサーバの中でとっていますので、データ破壊にも極めて強いと考えられます。

 

これらの高いセキュリティレベルを、小さい会社が自社のサーバで行おうとすると、コストが高くついてしまいます。また、セキュリティを強固にするネットワークおよびサーバ設計を行うのも技術の面からも高度なスキルが必要です。専門人員を雇う余裕もなかなかないことでしょう。

 

これらを考え合わせると、自前で用意したセキュリティ体制よりも、クラウド会計はよほど安心できるセキュリティ体制であること、データも相当に保護できるので、大切な会計データを保管しても安心であることがお判りいただけるでしょう。

 

  • これだけのメリットがあるのに、コストは高くない

上記に見たようなクラウド会計のメリットにも関わらず、クラウド会計のコストは決して高くありません。経理の専門家を1年間雇ったら数百万はかかってしまうことになりますが、クラウド会計の年間使用料はせいぜい数万円です。

 

最近、freeeの法人向けプランで、ERPの機能もある月4万円ほどのプランが登場しています。しかし、ERPは要らない、ということであれば、年間数万円で、自動仕訳も、青色申告も、セキュリティも、金融機関との連携も使えるのです。低コストでメリットが多いクラウド会計はとても魅力的、ときっとご理解いただけるでしょう。

 

クラウド会計のデメリット

クラウド会計はメリットがいっぱいですが、デメリットがないわけではありません。例えば次のようなことがデメリットとして挙げられるでしょう。

 

  • クラウド会計に乗り換えるのは大変

起業して、0からクラウド会計を設定するのはとても簡単です。なぜなら、過去のデータは考えなくてよいからです。しかし、今まで会計ソフトでデータを作ってきて、データを移し替えるのはどうしたらいいか、そして、作業の工数はどうするかを考えてしまいます。

 

しかし、この点は、「意外とやってみると簡単」という感想が多く聞かれるところです。会計ソフトには、データエクスポート機能がついているので、基本的にはエクスポートしたデータを、各クラウド会計に流し込む作業を行います。そして、どのクラウド会計も、会計ソフトからのエクスポートは手順がWebで説明されており、手順や留意点がわかりやすく解説されています。

 

実際に作業をやってみると、複雑ではないですが、時間がない時には有料クラウド会計各社のサポートサービスを利用し、データ移行を手伝ってもらうことも可能です。また、税理事務所に相談して、移行の注意点や、時間見積もりなど聞いておくのも有益です。

 

  • 動作が遅いときがある

クラウドサービスは、オンラインで利用しますので、接続する回線の状況に左右され、動きが重いとか、遅いといった使用感の問題が生じることもあります。クラウド会計も同じく、遅いとの感想をお持ちの方がいらっしゃいます。

 

しかし、クラウド会計の使い方のコツは、なるべく手入力を減らすことにあります。手入力が少ない状態であれば、使用感の問題もあまり気にならなくなります。金融機関・クレジットカード連携の他、スキャナとOCRでレシートなどのデータの取り込みが可能なクラウド会計もあり、手入力をクラウド会計のベンダーも極力手入力を減らしています。

 

こうして手入力を減らせることや、仕訳を自動で行え、圧倒的に効率化を図ることできる点を考えると、動作・使用感を気にするのはメリット・デメリットよりも価値観の問題かもしれません。

 

  • ランニングコストがかかるのは経済的ではない

「一回会計ソフトを購入すると追加費用は掛からないのが原則だが、クラウド会計は毎月の利用料がかかるのがあまり納得できない」とお考えの方もいらっしゃいます。確かに、一度会計ソフトを購入すると、月々のランニングコストはかかりません。

 

でも、会計ソフトの場合、アップデート・アップグレードがないと、最新の税制に対応できず、場合によっては追加料金がかかること、先ほどもご説明した通りです。それと、会計ソフトは資産となり、減価償却をしなければなりませんが、クラウド会計の利用料は経費です。月々の利用料を経費にできるとすれば、割高感は薄いのではないでしょうか。

 

以上の通り、クラウド会計のデメリットも確かにあるのですが、これらのデメリットは、考え方や、使い方によりほぼ解消が可能です。

 

クラウド会計を導入するときの留意点

では、クラウド会計を導入する際は、どんなことに注意をして導入すればよいでしょうか。

知っておきたい留意点が2つあります。一つはクラウド会計の選び方、もう一つは自動仕訳のルールの設定についてです。

 

1.クラウド会計の選択のときは何を基準に選べばよいか

クラウド会計は、freee・MFクラウド・やよいと三社のサービスがあり、どれを選んだらよいのかわからなくなることがあります。いくつか、選ぶときに考えておきたいいくつかのポイントがあります。

 

  • 使いたい連携機能はカバーしているか

銀行口座・クレジットカード・電子マネー・POSと、クラウド会計も連携機能が多彩になってきました。たとえばクレジットカードの取引が多い、あるいはPOSは外せない、といったご希望があると思います。連携機能は、クラウド会計を使うときのメリットとなる効率性や簡単さに大きく影響を与える要素です。

 

そこで、ご自身が使いたいと思っている・重視している連携が弱い、あるいは対応していないクラウド会計を選ぶことは避けたほうが無難です。クラウド会計の変化・進歩は非常に速いスピードでやってきますから、「近日対応予定」という機能もあります。HPなどで予告もありますので、最新情報には注意して選ぶようにしましょう。

 

  • 今までの会計ソフトとなるべく使い勝手を変えたくないと思うか

会計ソフトで弥生会計を使ってきたユーザーが、やよいオンラインを使うことは合理性があります。弥生会計に不満を持っていなかった、使い勝手に愛着があり、慣れたもののほうが効率はいい、という場合はやよいオンラインを選ぶというのも合理的な選択の仕方です。

 

  • 利用したい確定申告には対応しているか・給与計算の連携ができるか

機能があるない、ということもありますが、何をクラウド会計で済ませたいのか、クラウド会計で処理をしたいことは何か、全体を考えて選択することはコストの面にも影響します。

 

自分がしたい確定申告に対応しているか、完全対応でなければどこまでか、また、給与計算とは連携させたいか、導入するときには必ず考えておきましょう。後から追加コストが生じる、あるいはクラウド会計をスイッチする必要も出てきます。

 

2.仕訳ルールの設定は間違うと大変

クラウド会計の仕訳ルールの設定は間違うと面倒なことになるので、仕訳のルール設定は専門家に相談したほうが安心なことを知っておきましょう。

 

クラウド会計を導入する際、いくら自分の業務に合ったものを選択した、と思っても、仕訳のルール設定に誤りがあると、そのまま誤った自動仕訳が繰り返されます。これを申告書の作成の時期に1からなおしていくのはとても大変です。そのままにしておくと、正しい確定申告ができず、後でさらに延滞税などのペナルティを取られることも考えられます。

 

そこで、クラウド会計の導入の際は、仕訳のルール設定に関しては税理士にチェックをしてもらいましょう。クラウド会計を扱っている税理士であれば、クラウド会計での操作・設定の仕方も慣れているので、操作の点も含めて確認が可能です。

クラウド会計3ベンダー比較(法人ユーザーを前提)

〔単位:円〕

ソフト ベンダー プラン 年額(月換算) 月額 無料期間 電話サポート
(1) freee freee株式会社 ミニマム 23,760 ( 1,980) 2,380 30日間 ×
ベーシック 47,760 ( 3,980) 4,780
(2) MFクラウド会計 株式会社
マネーフォワード
スモールビジネス 35,760 ( 2,980) 3,980 30日間
ビジネス 59,760 ( 4,980) 5,980
(3) 弥生会計
オンライン
弥生株式会社 セルフプラン 26,000 ( 2,170) 2ヶ月
ベーシックプラン 30,000 ( 2,500)

さいごに

解説しましたように、クラウド会計は、効率性・利便性や、確定申告、特に青色申告の準備に有効であること、セキュリティも強固でコストも高くないことなど、メリットがいっぱいです。そして、税理士から少し時間アドバイスを受けると、帳簿や確定申告の内容も安心できるものになります。

 

クラウド会計は正しく使えば誰でも簡単に帳簿を正確に作ることができます。触ってみると簡単さにびっくりされる方もいらっしゃるくらいですので、気軽にまずトライアルから使ってみませんか?